2020年08月01日

雇用契約書を作成しないで人を雇用するメリットデメリット

アルバイトやパートで働いた経験のある人であれば分かることですが、たまに雇用契約書を作成しないで人を雇用している場合がありますよね。正社員であっても雇用契約書や就業条件明示書等を作成せずに口約束だけで人を雇用している場合がありますね。大手企業やちゃんとした会社であればほとんどないことなのですが中小企業や個人事業主に雇用される場合であればこういうことがよくあります。
○そもそも雇用契約書は必要なのか?(「雇用契約書」「就業条件明示書」を作成せずに人を雇用することは違法か)
それではさっそく、雇用契約書のルールや考え方について解説します。まず、結論から言えば、「雇用契約書はなくても問題ないが、労働条件が明示されていなければ違法」ということになります。なぜなら、労働基準法という法律で、入社時には労働条件について書面で明らかにしなければならないと決められているからです。そこで、簡単に雇用契約書と労働条件通知書の違いについて説明します。
@雇用契約書とは
雇用契約書は、必ず交付しなければならないというものではありません。ただし、労働契約法では、以下のようなルールもあります。
?労働契約法第4条
会社は、労働者に対して、労働条件や労働契約の内容について、理解を深めてもらうようにすることしたがって「労働条件通知書」で一方的に「あなたの労働条件はこれですよ」と通知するだけでなく、お互い理解し、内容を確認するために「雇用契約書」という書類を別に作成することがあるのです。とは言え、労働契約法は「できるだけこうしてください」というルールですので、違反しても罰則はありません。つまり、雇用契約書をもらえていなくても、労働条件通知書がもらえていれば、違法ではありません。
A労働条件通知書とは
労働条件通知書とは、労働基準法で交付が義務づけられている書類のことです。あなたと会社との間で締結された「給与」「労働時間」「残業」「休日」などの労働条件について、書類に記載されています。労働条件通知書について、労働基準法では以下のように決められています。
「労働条件明示義務」労働基準法第15条
労働条件通知書は、会社は従業員に対して必ず交付しなければならない。
・雇用契約書の作成は義務ではない
雇用契約書は労働契約の期間や「労働時間、賃金の支払い条件」など働くにあたって必要なルールが記載されている書類です。多くの企業ではこの書類を雇用契約時に新入社員と読み合せし、内容を確認した上で契約します。しかしこの雇用契約書を絶対に取りかわさなければならないという法律はありません。確かに書面で明示しなければならない事項はありますが、それが雇用者と労働者の双方が署名・捺印する「雇用契約書」という形でなくとも、雇用者側が一方的に労働条件を通知する「労働条件通知書」「雇用通知書」のみでも、法的には問題ないのです。
・雇用契約時における雇用者の義務とは?
どのような書面であれ雇用者は労働者に対し、「労働条件の明示(労働基準法第15条)」をしなくてはなりません。ここで定められている内容は以下のとおりです。
<絶対に書面で明示する必要があるもの>
「労働契約の期間」「就業場所」「従事する業務」「始業時刻及び終業時刻」「所定労働時間を超える労働の有無」「休憩時間、休日、休暇に関する事項」「交代制勤務に関する事項」「賃金の決定、計算、支払いの方法に関する事項(賃金については、「毎月の基本給の金額」「残業代や休日手当の計算方法、割増率」「給与の締め日や支払い日」「控除される項目について」「支払い方法(手渡しか振り込みか)」などが明示されている必要があります)」「賃金の締め切り、支払日に関する事項」「退職に関する事項(退職手続きの方法や理由、解雇の理由などを明示する必要があります。なお、労働条件は会社が自由に決められるわけではありません。労働基準法のルールに従った内容でなければ違法です)」「有期労働契約を更新する場合の基準」
<制度がある場合に書面または口頭で明示する必要があるもの>
「休職に関する事項」「労働者に負担させるべき食費、作業用品などに関する事項」「安全、衛生に関する事項」「職業訓練に関する事項」「災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項」「表彰、制裁に関する事項」「昇給に関する事項」「退職金に関する事項」「賞与等・臨時に支払われる賃金に関する事項」
絶対に書面で明示する必要があるものを「絶対的明示事項」と呼び、「制度」がある場合に書面または口頭で明示する必要があるものを相対的事項と呼びます。これらの内容は「労働条件通知書」「雇用通知書」でもまかなうことが可能です。ではなぜ「雇用契約書」が必要なのでしょうか。
○雇用契約書が必要な理由
雇用者が一方的に労働条件の通知を行う「労働条件通知書」「雇用通知書」の場合、記載内容の読み合せ等を行わないため労働者はその内容を理解しないまま働いてしまう危険性があります。すると働き始めてから「休日はもっとあると思っていた」「残業はないと思っていた」などトラブルに発展するリスクが生じます。また相対的明示事項について口頭で伝えていた場合は「言った、言わない」の議論になってしまい、双方の損失につながりかねません。あらかじめこれらのリスクに対策を講じ、雇用者と労働者の間で信頼関係を築くためにも雇用契約書が必要なのです。
○雇用契約書がない場合のありがちなトラブル
雇用契約書は、先ほども説明したように、あなたと会社の間で労働条件や契約の内容について確認し、お互いの認識に違いがないか確認するものです。一部のブラック企業では、口頭では良い条件を言いつつ、実際には異なる条件で雇用し、それを説明せずに従業員を働かせることがあります。こうした会社を避け、トラブルなく働くためにも雇用契約書があった方が良いのです。雇用契約書がない場合は、以下のようなトラブルや悩みの原因になりかねません。
【雇用契約書がない場合のありがちなトラブル】
・求人票の内容と労働条件が異なる
最も多いのが、入社後になって「求人票に書かれていた条件が違う!」と気付くパターンです。会社によっては、求人票と実際の労働条件が異なることがあります。そのため、求人票を見て、その条件ならと思って入社したのに、実際の労働条件が違っていた、というケースがあるのです。求人票に書かれた労働条件は、あくまで「目安」です。そのため、それを悪用して、人を集めるために、わざと、「給与を高めに記載する」「残業を短めに記載する」「休日を多めに記載する」といった行為をする会社も多いのです。とは言え、労働条件通知書には、実際の条件と異なったことを書くことはできません。そのため、入社時に雇用契約書をもらい、それをよく読んでいれば、こうしたトラブルを避けることができます。
・自分に不利な契約や就業規則がある
会社には、社内でのルールを定めた「就業規則」があります。就業規則は会社独自のルールですので、本来なら法律にのっとった内容でなければなりません。しかし、雇用契約書を交付しないような会社の場合、「残業をしても残業代を支払わない」「就業規則に違反したら即時解雇する」など、違法で会社に有利な内容を勝手に記載していることがあります。そのため、雇用契約書がない会社の場合、入社後にトラブルが発生するリスクがあるのです。
・聞いていない試用期間がある
会社に入社するときは、最初の数ヶ月が試用期間であることがあります。これは労働条件通知書には記載される必要がありますが、労働条件通知書を読んでおらず、口頭での説明も受けていなければ「試用期間なんて聞いていない」と後からトラブルになる事があります。雇用契約書があり、説明を受けていれば、試用期間があることを納得した上で働く事ができます。
○雇用契約書作成の注意点
・「そんな書類は知らない」を防ぐために
雇用契約書を取り交わす時は労働者用を1部、雇用者用を1部ずつ用意し、両方に労働者と雇用者の承諾の署名・捺印をするようにします。トラブルが発生した時にどちらかが「そんな書類は知らない」と言いださないようにするためです。「自社はそんなことは言わないし、新入社員もそのような人物ではない」と思うかもしれませんが、トラブルに対する事前の策を講じている姿勢を労働者に示すことで、双方の信頼感をより強くすることができます。
・有期雇用をする場合の注意点
絶対的明示事項には「労働契約の期間」が定められています。当初定めた期間で雇用契約を終了する場合は問題ありませんが、継続して雇用する場合は改めて雇用契約書を取り交わす必要があります。もしこれをせずに雇用し続けていると、法的には「期間の定めのない雇用」に移行したとみなされる可能性が高くなります。その場合、やめてもらわなくてはならなくなった時に「解雇予告」の手続きが必要となり、正社員を解雇するのと同様の正当な理由が要求されます。
・絶対的・相対的明示事項に加えて定めておくべき事項
雇用契約書には絶対的明示事項及び相対的明示事項以外にも会社内でのルールを記載することができます。その場合にトラブル防止のために定めておくべき事項がいくつかあります。そのうちの1つが社内での配置転換や社外への出向など、将来的な人事異動についての定めです。この点について契約を交わしていなければ、営業職で入社させたものの製造職の方に適性があったという場合に、会社の都合だけで異動させられなくなってしまいます。社員の故意または過失によって会社に重大な損失が発生した場合の対応についての事項や、事業不振などで会社都合の臨時休業をせざるを得なくなった場合の対応などについても、雇用契約書に定めておくべき事項です。
○「雇用契約書」「就業条件明示書」を作成せずに人を雇用するメリットデメリットについて書いておきます。
雇用契約書を作成しないことは違法ではないが方がトラブル予防が出来ることはわかると思います。ここで作成しておくメリットデメリットについて書いておきます。
@「雇用契約書」「就業条件明示書」を作成せずに人を雇用するメリット
・雇う側のメリット
「雇用手続きをする上での書類作成事務作業(入社手続き等)が省略(又は簡略化)できる(これは違法だがよくある)」
・雇われる側のメリット
「入社手続き等がないので楽」(こういう考え方がブラック企業をのさばらせる原因になっています)
A「雇用契約書」「就業条件明示書」を作成せずに人を雇用するデメリット
・雇う側のデメリット
「労働基準法上問題になる可能性が無きにしも非ず」
「能力的・人間的・適正的に問題のある人を解雇できない(解雇しにくい)場合がある(アルバイト等の雇用契約書を作ってあれば契約更新をしないことにすれば合法的に解雇できるが、雇用契約書を作成していなければそう簡単に解雇出来ないことがある)」
「採用してから聞いていた話と条件が違うということが発生する可能性がある」
「雇用上、優秀な人が定着せず、能力的に問題のある人がずっと居座る(なかなか辞めない)ようなことが起こる可能性がある」
・雇われる側のデメリット
「採用されてから聞いていた話と条件が違うということが発生する可能性がある」
「給料等の支払いにおいてトラブルになり可能性がある(締め日と支払日の兼ね合い等)」
「倒産してしまった場合に雇用されていた事実を証明する証明書がないため、未払い賃金等のトラブルが発生すると困ることがある」
「就業条件について言った言わない聞いた聞いていないということでトラブルになることがある」
○労働条件通知書・雇用契約書がない場合の対処法
ここまで説明したように、労働条件通知書がなければ違法ですし、雇用契約書がなければトラブルの元になります。したがって、労働条件通知書・雇用契約書がない場合は、これから紹介する対処法を実践することが大事です。「労働条件通知書がない場合の対処法」「雇用契約書がない場合の対処法」を順番に解説します。労働条件通知書がない場合の対処法
労働条件通知書がない場合は、「会社に労働条件の明示を求める」「労働基準監督署に相談する」「労働問題専門の弁護士に相談する」「退職する」という手段の対処法を実践してください。
@会社に労働条件の明示を求める
労働条件を明示することは、会社の義務です。そのため、もしもらえていない場合は、まずは会社に対して明示をお願いしてみましょう。小さな会社の場合は、経営者や担当者が労働条件通知書が必要なことすら知らず、あなたがお願いすることで明らかにしてくれる可能性もあります。しかし、「会社に対してそんなこと言えない」「言っても労働条件を開示してくれない」ということもあると思います。その場合は、これから解説する他の方法を実践してください。
A労働基準監督署に相談する
労働基準監督署とは、労働基準法にのっとって全国の会社を監督・指導する行政機関のことです。全国の都道府県にあり、労働者なら誰でも無料で相談することができます。労働基準監督署に相談すると、「労働基準法にのっとった、具体的なアドバイスをくれる」「会社に立入調査する」「会社に対して是正勧告(改善命令)を出す」「勧告に従わない場合、経営者を逮捕することがある」「厚生労働省のHPで会社名と違法行為を公開する」などの対応を取ってくれることがあります。労働条件通知書がないことは違法ですので、会社に対してこうした対応をとり改善してくれる可能性があります。ただし、労働基準監督署はすべての相談に対して動いてくれるわけではありません。
B労働問題専門の弁護士に相談する
労働条件通知書をもらえておらず、それを原因として会社との間で何らかのトラブルが発生している場合、労働問題専門の弁護士に相談することで、問題を解決できる可能性があります。労働問題専門の弁護士に依頼することには、「専門知識があるため、迅速に解決できる可能性が高い」「問題解決に責任を持って取り組んでくれる」などのメリットがあります。ただし、労働問題弁護士に依頼すると、ある程度の費用が発生しますので、どのくらいの費用が必要か相談時に聞いてみましょう。
C退職する
労働条件通知書がない場合の、最大の解決策は「退職する」ことです。労働条件通知書がなく、入社後に条件が異なることに気付いた場合、それは違法行為ですので、あなたは「即座に退職する」ことができます。退職届に「労働条件通知書がもらえなかった」ことを記載し、メールもしくは書面で提出した上で、すぐに退職しましょう。次の会社に入社するときは、雇用契約書をもらい、労働条件についてしっかり理解した上で入社することをおすすめします。
○雇用契約書がない場合の対処法
次に、雇用契約書がない場合の対処法ですが、雇用契約書がないことはそもそも違法ではありませんので、「労働基準監督署」「労働問題専門の弁護士」などを使った対処法は使えません。さらに、雇用契約書がないことを理由にして退職することもできません。そのため、もし労働条件通知書がもらえているなら、その内容をもとに会社に対して労働条件や契約内容について確認し、理解を深めるようにしましょう。そうすることで、その後のトラブルを避けることができるでしょう。
○まとめ(個人的意見として)
確かに法律上、雇用契約書は必ずしも必要な書類ではありません。しかし雇用者と労働者の間の信頼感や各種トラブルの防止のためにも、あらかじめ取りかわしておくことが大切です。雇う側として絶対的明示事項と相対的明示事項以外にも、トラブルを防ぐために必要だと考えられる事項があれば追加し、「より効率的な」雇用契約書を作成するように心がけましょう。雇われる側としても「日雇いのアルバイトでかつその日のうち(仕事終了後)に給料がもらえる」という場合なら雇用契約書がなくても特に大きな問題になることはないが、「長期のアルバイトやパート」「給料を後日振り込む」という場合であれば必ず「雇用契約書」「就業条件明示書」を提示してもらうようにしましょう(面倒くさがらずに)。





ラベル:雇用 経済
posted by 副業探偵 at 11:31| 大阪 ☀| 雇用 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする