2018年11月11日

安倍政権の6年で「弱肉強食が進み庶民は転落」と専門家、我々に明るい未来なし?

「長さゆえの慢心はないか」
先月24日に始まった臨時国会の所信表明演説で、そう自問した安倍首相。「1強に陰り」「求心力低下」と言われながらも、第二次安倍政権が発足してから6年10か月が経過。さらに、2021年までの「戦後最長政権」が視野に入る。長さゆえに忘れられがちな公約、さまざまなスローガン、鳴り物入りで始まった政策って結局、どうなった? まずは景気や経済について、あの人と見ていこう。

「トクしたのは大企業と富裕層316万人だけ」
2012年末に自民党が政権与党に返り咲いて以来、鳴り物入りで進められてきたアベノミクス。あれから6年、私たちの暮らしはどう変わってきたのだろうか?民主党政権時と現在を比べると、平均給与が上がり、株価も円相場も持ち直して、経済が上向いているかのように見える。実際、景気を数値で表す景気動向指数はバブル期を超え、その長さは、来年1月まで続けば戦後最長を更新するという。

経済アナリストの森永卓郎さんが解説する。
「財政・金融政策については、安倍政権は、ほぼ正しいことをやったんです。金融緩和で市場に出回るお金の量を増やした結果、経済の指標が劇的によくなりました」
第2次安倍政権の発足前、日本経済はボロボロだった。「日経平均株価が8600円ぐらい。いまの2・5分の1ぐらいでしたが、回復しました。労働市場もひどい状況だったのが、有効求人倍率は倍ぐらいにまで上がり、いまや人手不足の状況に。為替レートも、民主党政権の末期には79円だったのが、110円台まで戻っています」一方、物価はじわじわと上がり、家計に占める食費の割合を示す「エンゲル係数」も上昇。平均給与も上がってはいるものの、その伸びは物価の上昇に追い付いていない。「国内総生産(GDP)という経済のパイは7%も大きくなりましたが、実質賃金は4%ほど下がった。パイが大きくなったのに、分け前はむしろ減っている。なぜか? ごく一部に、お金が滞留したからです」

内部留保は過去最高に
企業が利益を貯め込む「内部留保」は417兆円を超え、過去最高に。「さらに、現金・預金もため込んでいる。財務省の法人企業統計によると、その数、およそ200兆円以上。とてつもない額を握り込んでいる」蓄えが社員に還元されることはめったにない。企業が稼ぎを人件費に回す割合を示す「労働分配率」は下がり続け、'17年度は66・2%と、43年ぶりの低水準に落ち込んだ。「企業の優遇はまだある。民主党政権だった2010年、法人実効税率は40%台でしたが、いまでは20%台まで下がっています」そんななかで現れた“ハゲタカ・ファンド”は、不良債権を抱えた会社を二束三文で買いたたき、荒稼ぎをしている。「フランスのコンサルティング会社が毎年、『世界富裕層報告』という調査レポートを出していますが、その最新版で日本は世界2位。1億1000万円以上の投資資産を持つ富裕層が、全国に316万2000人もいるというんです。その大半がハゲタカ。アベノミクスのもうけは、彼らと大企業へ集中しています」

一方、痛手を負っているのが地方経済だ。
「地方の疲弊ぶりはすさまじいものがある。TPP(環太平洋経済連携協定)でもずいぶん押し込まれて、農産物のうち51・3%が即時関税撤廃になりました。さらにアメリカのトランプ大統領は一層の譲歩を迫っています。弱肉強食が進んで庶民は転落、そこからの逆転が難しくなった。それが安倍政権の6年間で起こったことです」そんななか、来年10月には消費税10%への引き上げが待ち受ける。森永さんは「おそらく参院選の直前にとりやめると思う。野党が増税反対で足並みをそろえているので」としながらも、もし上がるとしたら「中小企業はバタバタつぶれますよ」と断言する。「'14年に消費税を3%引き上げたときは、消費が3%落ちて冷え込んだ。今度もそうなるでしょう。カード決済すればポイント還元する案が出ていますが、中小零細企業では、カード会社に5%ぐらい手数料で持っていかれる。売り上げが減るし入金も先になるので、資金繰りが苦しくなります。中小企業をつぶすぞと言っているのも同然です」

日本の軽減税率はインチキ
増税の痛みが襲いかかるのは庶民も同じ。とりわけ消費税には、低所得者ほど負担が大きいという問題がある。それをやわらげるために、初めて「軽減税率」制度が導入される予定だが、「税率が8%に据え置かれるだけで軽減になっていません。インチキです。例えばイギリスでは、食料品も、公共交通機関の運賃も0%。新聞代にもかからない。生活必需品にはかけないというのが本来の軽減税率なんです」消費税を引き上げるにあたり、安倍首相は「社会保障の維持」を理由に挙げている。「そもそも、消費税で社会保障費をまかなおうというのが間違いです。厚生年金も健康保険も、社会保障に関しては労使で折半しているのに、消費税を払うのは消費者だけ。企業は負担しないで、むしろ還付金を受けている立場です。社会保険料の企業負担をスウェーデン並みに増やし、法人実効税率を40%台に戻せば、莫大な税収が入る。そうすれば消費税は下げられます」安倍政権の6年間を経て、日本はどこへ向かうのだろうか。

〈PROFILE〉
森永卓郎さん ◎1957年生まれ。経済アナリスト。獨協大学教授。東京大学卒業後、三和総合研究所(現・三菱東京UFJリサーチ&コンサルティング)等を経て現職。テレビやラジオ、雑誌ほか各メディアで活躍


週刊女性PRIME / 2018年11月9日 17時0分



ラベル:経済
posted by 副業探偵 at 15:35| 大阪 ☀| 経済 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする